セックスしたり結婚したい女子アナ　僕は宮司 愛海

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婚姻制度は誰のために　しないと守れないものがある？

同性婚が認められていない現状を憲法違反だとする判断が、札幌地裁で出た。判決文を読みつつ考えた。法律上の結婚、つまり「婚姻制度」とは、そもそも誰のため、何のためにあるのか。
ロバートキャンベルさん「日本社会はすでに分岐点を越えた」
同性婚が認められていない現状は憲法違反だとした札幌地裁判決の全文を、感動とともに読みました。「結婚の平等」を実現しなければならないとの考えを打ち出した判決だと受け止めています。
結婚という制度によって異性愛者に保障されていることが同性愛者には保障されていない――それは法の下の平等を定めた憲法第14条に違反すると、判決は示しました。
私は、日本人の同性パートナーと連れ添って22年になります。大きな不安は、どちらかに深刻な治療や介護が必要になったときのことです。
パートナーが倒れたとき、本人の代わりに私が医師から病状説明を受けられるか。病室で付き添うことはできるのか。老いたとき介護管理にかかわれるのか。現状ではどれも保障されていません。「親族ではないから」です。
どの医療行為を選ぶかを自分では判断できない状況になったとき、誰にしてほしいでしょう。人生を長くともにしていて信頼でき、自分の価値観や心身状況を知るパートナーに託したいと私は思います。でも現状では難しい。異性愛同士の結婚カップルであれば保障される「結婚の法的効果」が、同性愛カップルには保障されない形です。
同性パートナーの最期に病室で立ち会おうとして医師に止められてしまった人がいた話は、最近も耳にしました。ただ、病院側を理解できる部分もあります。同性婚を認めない今の制度では、患者の親戚から「なぜあの人を入れたのか」と責められかねない。制度を是正すべきです。
いま世論調査を見ると、同性婚を認めるべきだと考える人が過半数を占めています。それが合理的であり私たちの社会にふさわしいと考える人が半数を上回った。日本社会はすでに分岐点を越えたのだと私は見ています。追いつけていないのは国政。自民党内に残る「同性婚は伝統的家族を危うくするものだ」との意識がそれです。
しかし「結婚の平等」への動きは、社会を束ねる紐帯（ちゅうたい）としての婚姻制度を揺るがすものではないはずです。むしろ、様々な理由で結婚に踏み込めない・踏み込まない人とともに議論をする土俵になり、社会の紐帯を強める原動力になりうるものでしょう。
子育ての環境を整備する観点から結婚の意味を考え直す作業も大事だと思います。たとえば日本にも、男性同士や女性同士のカップルによって育てられている子どもがたくさんいます。しかし同性婚を認めない社会状況は、そうした子どもたちの声をあげにくくさせ、存在を見えにくくさせてしまっている可能性がある。いまそこで子どもたちの心身の健康がおびやかされてはいないか……。制度改善を急がなければいけないと私が考える理由の一つです。
今回の地裁判決を読んでいたとき、波のように私の脳裏によみがえってきたのは、米国社会の歴史です。米国では2015年の連邦最高裁判決によって、すべての州で同性婚が認められることになりました。変革の原動力になった一つは、1960年代に人種差別撤廃を求めて闘ったアフリカ系の人々が21世紀に入って、同性婚に対する賛成の声を高めたことでした。
人種にかかわる差別をなくして平等を実現しようと闘った人たちが、性的指向や性自認にかかわる差別と闘い平等を求める人たちと、時代を超えて連帯した。大事なのは立場の異なる人への想像力であり、同性婚というテーマは人権や尊厳にかかわる普遍的な問題を問うているのだと、米国民に気づかせたのです。
二人の人が継続的に愛し合うなかでそれぞれの生き方を支え合い、愛し合うその二人が社会ときちんと向き合うこと――。結婚の根本的な意味はそのあたりでしょうか。
私自身は17年に米国でパートナーと婚姻の手続きをしました。きっかけは父の勧めです。「20年近くも一緒にいるのになぜ結婚しないの？」と言ってくれたのです。
最初は「父を安心させられるなら」くらいの気持ちでしたが、実際に結婚すると気づきがありました。結婚は、仕事で業績をあげたとか、たくさんお金をかせいだとかとは違って、二人がただそこにいることを祝福してもらうものでした。感動しました。（聞き手編集委員・塩倉裕）
1957年、米ニューヨーク生まれ。85年に来日。専門は江戸・明治時代の文学。早稲田大学特命教授。
王谷晶さん「婚姻外の関係の権利保障も」
私は、レズビアンですが、同性婚が認められたとしても、結婚はしないんじゃないかと思います。法律上の結婚をする=権利を得て生きやすくなる、ということに抵抗があるからです。